アマゾンの最強の働き方 Working Backwards
https://gyazo.com/f69c1ba441361080aa203475e19cd8f2
なぜこの本を読んだか
たまたま Twitter (改め X) を見てたら流れてきたのでつい積んでしまった。
Amazon のサービスこそファンではないものの、企業としてはファン (Two Pizza rule やプレスリリースから始めろやリーダーの14か条のやつとか自律的チームを作りAPIで会話すべしとか) なので夏休みに入り時間があいたので読んでみた
何が書かれている本か
前半は、Amazon の会社の仕組みや取り組むなどについて触れている
後半は、それぞれのプロダクトの事例集となっている
PART1 アマゾンの働き方 仕事のプリンシプル
Chapter1 土台 ── 「プリンシプル」を心に刻む
Chapter2 採用 ── 「バー・レイザー方式」で厳選する
Chapter3 組織 ── 「シングルスレッド・リーダー」が率いる
Chapter4 コミュニケーション ── 「6ページ」で伝える
Chapter5 ワーキング・バックワーズ ── 「理想的な顧客体験」からスタートする
Chapter6 評価指標 ── アウトプットより「インプット」を見る
PART2 創造の方法 新たなものはこうして生まれる
Chapter7 キンドル ── 決断したら「迅速」に行動するのみ
Chapter8 プライム ── 「顧客へのこだわりと長期的思考」を貫く
Chapter9 プライム・ビデオ ── 「サブスクリプション」の難題を解く
Chapter 10 AWS ── 「ワーキング・バックワーズ」で成功をつかむ
メモ
PART2 の各プロダクトの話は、ぜひ本書を手にとって自ら読んで欲しい
リーダーシップ・プリンシプル
それはポスターやスクリーンセイバーに書かれたただのキャッチコピーではなく、生きて呼吸するアマゾンの憲法にほかならないのだ。
年間計画
https://gyazo.com/3d7ab343ec1df17f2448a9c7ba688f1d
意外とというか企業の大きさを考えれば短いくらいだけど、重厚な計画的なプロセスが存在しているのだなと思った。
こういうのが形式だけになったり、みんなから嫌われずに真剣に取り組んでいる状態を維持するのはすごいと思う。
採用の方針
「欲しいのは伝道者だ、傭兵じゃない」。ビジネスをやっていれば必ず傭兵に出会う。手っ取り早く稼ぐのが目的の利己的なタイプだ。会社のために行動する意識は希薄で、困難な時期を一丸となって乗り切ろうとする覚悟もない。
「組織のカルチャーが誕生する過程は2つに1つだ。発足時から明確に規定され、育まれ、守られていく場合が1つ。もう1つは、この方が多いが、チームのメンバーの信念や経験、行動の集合体として偶発的にカルチャーが生まれる。好むと好まざるとにかかわらず、このどちらかによってカルチャーは確立する」
※ また様々な確証バイアスを排除するための工夫を頑張っている
※ 本書の最後の方に面接でフィードバックをどのように行うかのサンプルがある
プロセス全体
職務記述書
Job Description の作成という感じ
履歴書の精査
電話インタビュー
面接ループ
5 ~ 7時間を要する + 多くの社員が参加する (通常5 - 7人)
文書によるフィードバックの作成
これは義務付けされていて、基本的に面接のすぐあとに書く
採用会議
全員が自分以外のフィードバックを初めて読む場でもある
全員のフィードバックを読んで、結論を変えたい人はいますか?
というような質問をすることで擦り合わせを行う
通常場のファシリテーションはバーレイザーが行う
信用照会
いわゆるリファレンスチェックというやつ
ただしバーレイザーが機能し始めてからは減ったとのこと
バーレイザー
採用プロセスに第三者的に関わることができる社内に選ばれた人間で採用に拒否権を有していたり、プロセス内でのレビューや採用関係者にコーチングの実行などを行う
シングルスレッド・リーダーシップ
創造的な行動を失敗に導く最も確実な方法は、だれかにそれを片手間の仕事としてやらせることだ
シングルスレッド・リーダーシップとは、
目標の達成に向けて、両立が難しいほの責任を負わない1人の人物が、1つのプロジェクトを統括し、全体から切り離せる自律的なチームを率いる
Amazon には、もともと Two Pizza Rule という小さく、自律したチームを構成するというよく知られた指針がある
実は全社での展開を考えたときには、想定していたほどは根付かず、期待していたほど全社には浸透しなかったため、重要な要素を抽出して今では「シングルスレッド・リーダーシップ」として活用されている。
6ページ資料
以下のような理由でパワーポイントが禁止され代わりに 6ページ資料というのが新たに利用されることとなった
議論し分析しようとする対象が、因果関係を伴い、変数が多く、比較対照を要し、エビデンスを重視するものであり、かつ問題解決を決めるものであればあるほど、それを短い箇条書きの羅列で表現することによる弊害は大きくなる。
20ページのパワーポイントより、4ページの良質なメモを作成する方が難しい。ナラティブで書く場合、本当に重要なことや物事の関連性を考えざるを得ないからだ。それがパワーポイントによるプレゼンは、アイディアをもっともらしく見せれるため、重要度の違いを均したり、アイディア間にある関連を無視したりしても成立してしまう
本書に例が掲載しているのでそちらを参照してほしい
Working Backwards
PR
開発を実際に始めるまえに、プレスリリースを作る
プレスリリースを先に作ることで顧客の体験がどうあるべきかというアイディアの理想を考えることができ、しかも少ないページ数でそれを伝えねばならないため洗練させる必要がある
※ 本書に例が掲載しているのでそちらを参照してほしい
FAQ
想定問答を作ることで自らがそのアイディアに対して批判的な視点を得ることができる
※ 本書に例が掲載しているのでそちらを参照してほしい
Two Way Door, One Way Door
Some decisions are consequential and irreversible or nearly irreversible – one-way doors – and these decisions must be made methodically, carefully, slowly, with great deliberation and consultation. If you walk through and don’t like what you see on the other side, you can’t get back to where you were before. We can call these Type 1 decisions. But most decisions aren’t like that – they are changeable, reversible – they’re two-way doors. If you’ve made a suboptimal Type 2 decision, you don’t have to live with the consequences for that long. You can reopen the door and go back through. Type 2 decisions can and should be made quickly by high judgment individuals or small groups.
感想
これだけ人数が増えて事業が増えて、多様化している中で価値の軸を残し続けようとしていることが凄まじいなと思った
何度聞いても Working Backwards の1つのプレスリリースの話や FAQ を先に作るという話は秀逸すぎるなと思うのでこれからも真似していきたい
また採用などに関して徹底的に確証バイアスと向き合ってるのがすごい (= 人間の限界というものを非常に理解しているという点が共感できる)